葬儀費用を被相続人の預貯金から支払ってもよいのか?

質問

父が亡くなり,長男である私が喪主を務めることになりました。実は,私は,父が亡くなる前日に,予め葬儀費用に充てようと思って500万円ほど引出し,自宅で保管していました。葬儀は平均的な規模で,世間一般に行われている方法で執り行いました。後日,葬儀業者から請求書が届いたため,保管していた500万円から葬儀費用の支払いを済ませました。

しかし,弟(次男)から,このような葬儀費用の支払いはおかしいと文句を言われたのです。

葬儀費用を予め引き出していた被相続人名義の預貯金から支出することに,何か問題はあるのでしょうか。
 

回答

葬儀費用は喪主負担であるとするのが裁判例の立場。ただし,例外的に遺産を葬儀費用に充てることが出来る場合もある。
 
葬儀費用とは,例えばお葬式を執り行うための費用だけでなく,ご遺体を運搬する費用や火葬に関する費用を含むものです。

この葬儀費用は,亡くなった方(被相続人)のための儀式であるから,被相続人の財産(遺産)から支出することは当然だ,と思われる方もいらっしゃるかもしれません。

しかし,裁判例はそのような立場を採っていません。例えば,名古屋高等裁判所平成24年3月29日判決は,「追悼儀式に要する費用については同儀式を主宰した者,すなわち,自己の責任と計算において,同儀式を準備し,手配等して挙行した者が負担し,埋葬等の行為に要する費用については亡くなった者の祭祀承継者が負担するものと解するのが相当である」と述べ,喪主となる方が負担すべきものであるとの考えを明らかにしています。

このような考え方からすれば,遺産から葬儀費用を支出することはできず,喪主となる方が自分のお財布から支払わなければならないことになります。

とはいうものの,葬儀費用を被相続人の財産から支出することは,世間一般で行われている面はあります。

上記名古屋高裁判決も,一切の例外を認めていないわけではなく,亡くなった方が予め葬儀業者等と契約している場合や,亡くなった者の葬儀費用をだれが負担するのかが合意が出来ている場合等には,被相続人の財産から支払うことも可能であるとしています。

こういった法的な問題もありますが,そもそも他の相続人に内緒で預貯金を引き出したりすると,その後の遺産分割協議手続で無用なトラブルを生む可能性があります。

葬儀費用の扱いをどうするのかは,慎重に協議された方がよいでしょう。

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