HOME > よくあるQ&A > 相続放棄について > 「財産を放棄します」という書面に署名したのですが・・・

「財産を放棄します」という書面に署名したのですが・・・

質 問

父が亡くなって葬儀のときに、相続人の一人である兄から「長男は俺なんだから、お前は相続を放棄しろよ。実印貸してもらえれば、俺が手続やっておくから。」と言われました。私は父と別に生活していましたし、それほど財産も無かったので、「わかった」と言って兄に実印を渡しました。その書面の写しをもらったのですが、「父の財産を放棄します。」という一文が書いてあります。
5年後、ある借入について、私に対して債権者から請求が来たのです。どうやら、父が連帯保証人になっていて、子である私に請求してきたようです。
でも、私は相続放棄したんですから、この債務は払わなくていいんですよね?

回 答

相続人間で「相続は放棄します。」「財産は受け取りません。」などと一筆書いて相続放棄をしたつもりになっているケースはよくあります。しかし、法律上、相続放棄は家庭裁判所に申述しなければならないとされています(要式行為 民法938条)。それゆえ、上記のような一筆だけで相続放棄の法的効果が生じることはありません。

では、一筆かいてある書面は、意味が無かったのですね。今からでは、相続放棄は難しいのでしょうか。
相談者
相談者
美咲総合法律税務事務所
美咲総合法律税務事務所
そうですね、相談者は相続人でありますので、被相続人の債務を承継する立場にあります。
美咲総合法律税務事務所
美咲総合法律税務事務所
とはいえ、これではやや不合理な面は否定できません。相続放棄は「自己のために相続の開始があったことを知ったときから3箇月」(民法915条)とされていますが、個別具体的事情によっては、期間経過後の相続放棄を受理してもらえることもあります。相続放棄が可能か、また別の方法があるのか検討する必要があるでしょう。まずは弁護士にお問合せください。

 

関連記事はこちら