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生活費の援助と特別受益

質 問

先日、父が死亡しました。相続人としては、子である私と妹がいます。妹は、定職に就かず、生活費にも困っていたようです。見かねた父は、私の知らない間に、10年にもわたって、月2万円ほど、妹に対して生活費の援助をしていたようです。
この生活費の援助は、父の相続において、妹の特別受益になりますか。

回 答

あらゆる贈与(援助)が特別受益になるものではなく、「生計の資本として」の贈与のみが特別受益となります。そして、「生計の資本として」の贈与といえるためには、贈与の金額や贈与の趣旨から相続財産の前渡しとみられるような贈与に限られます。

つまり、今回のケースがまとまったお金で10年分240万円(2万×12ヶ月×10年)を一括で生活費の援助があれば特別受益になる可能性はあるけれども、月2万円を分割でとなると、特別受益には当たらない可能性が高いということでしょうか。
相談者
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美咲総合法律税務事務所
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月額2万円という金額からすれば、相続財産の前渡しというよりも、親族間の扶養的金銭援助と考えられるため、特別受益にはならないと考えられます。
審判例では、継続的な金銭の贈与があった事案において、一か月10万円を超える送金について、生計の資本としての贈与と認め、特別受益としたものがあります(10万円に満たないものは親族間の扶養的金銭援助にとどまるとしています)。

 

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