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母の遺言は無効なのでしょうか?

質 問

先日、母が死亡しました。父は既に亡くなっており、相続人は私と兄がいます。兄が大学進学のため東京に行ったあとは、私と父母とで実家で暮らしていました。父が亡くなった後、母も体調を崩したため、私が母の面倒を見てきました。
そういった私のためを思ったのか、母は私に母の財産をすべて相続させるという内容の遺言を書いてくれました。
母が死亡した後、遺言の内容を兄に伝えたら、母は晩年判断能力が十分でなかったのだから、そんな遺言は無効だと言ってきました。確かに、母は年相応には判断能力が衰えていたとはおもいますが、重度の認知症というわけではありませんでした。
母の書いた遺言は無効なのでしょうか。

回 答

お母様の残された遺言書が有効かどうかは、①遺言のルールを守っているのか、②お母様の判断能力があったか、がポイントとなります。
これから、それぞれをご説明します。

 

1 遺言の方式が守られているか

遺言は、一定の方式を守って作成されていなければ、無効になります。

お母様がご自身で書いた自筆証書遺言であれば、

①遺言書の全文をお母様が自署していること

②作成日付の記載があること

③署名・押印があるもの

これらの要件を欠いていると遺言が無効となってしまう可能性があるので、確認する必要があります。

 

2 お母様が遺言能力を有していたか

遺言が有効とされるためには、遺言の際に、遺言の内容とその効果を理解判断するのに必要な能力(遺言能力)を備えていることが必要です。

近くで面倒見ていた私からすれば、充分理解・判断できていたと思うのですが、私が話しても納得してもらえません。
相談者
相談者
美咲総合法律税務事務所
美咲総合法律税務事務所
今回のケースでは、この遺言能力が問題となっていますね。

遺言能力を判断するうえでは、遺言の内容、認知能力、知能等の能力、遺言の作成経緯等が考慮されますが、一般的に言えば、あまり高度な能力が要求されるわけではありません。

美咲総合法律税務事務所
美咲総合法律税務事務所
具体的なお母様の認知能力や知能等の状況が分からないところがありますが、年相応の判断能力の低下に過ぎず、遺言の内容もすべてを相談者に相続させるという簡単なもので、内容の理解・判断が難しいものではない上、遺言の作成経緯も十分納得の行くものであるといった事情は、遺言能力があったという方向で考えられる事情であることは指摘できますね。

 

 

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