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相続の効力の見直し

質 問

相続の効力の見直しとはどういうことですか?

回 答

この当たりは、理論上違いを説明すると大変難しい話になるので、どういった点の変更があったかを解説します。

 

 

美咲総合法律税務事務所
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例えば、お父さんが被相続人、相続人は長男と次男だけという事案で考えます。

この事案でお父さんは、「自宅の土地建物は長男に相続させる」という遺言を残していたとします。

しかし、長男がその旨の不動産登記をする前に、次男が法定相続分どおり長男2分の1、次男2分の1の登記をして、次男の持分を第三者のDさんに売ってしまって、Dさんがその旨の登記をしたらどうなると思いますか(登記上は長男2分の1、Dさん2分の1になる)。

その前に、長男に全て相続させるという遺言があるのに、次男が長男の協力なしに、法定相続分どおりの登記をすることなんて可能なんですか?
相談者
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美咲総合法律税務事務所
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法定相続分どおりの登記は、共同相続登記といって、各相続人が単独で行うことができます。これは、相続法の改正にかかわらずできます。
美咲総合法律税務事務所
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先ほどの事例にもどりますが、改正前後で結論が全く変わるのです。

つまり、改正前は、長男はDさんに自己の所有権を主張できたのですが、改正後は、長男はDさんが登記をしてしまう前に、自分が全部相続した旨の登記をしないと、長男はDさんの自分の所有権を主張することができなくなります。

なぜこういった改正がされたのでしょうか?
相談者
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美咲総合法律税務事務所
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そもそも、不動産取引をする場合には、誰に権利があるかを確認して、売買をします。そして、その確認手段は不動産登記になります。

ですから、Dさんも普通は登記をみて、売買を行います。しかし、Dさんが登記を信頼して売買を行ったにもかかわらず、突如として長男から遺言の存在を主張され、自分の権利を否定されるとすると、安心して取引を行うことができません。

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このように取引の安全を図り、また権利の実体と登記を一致させるために、遺言によるものであっても、自己の権利を主張する場合には、不動産登記を要求したのが、改正の趣旨です。

なお、補足ですが、このように登記をしないと第三者に権利を主張できないのは、法定相続分を超える部分です。ですので、法定相続分の範囲内については、登記がなくとも第三者に権利を主張できます。

 

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