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配偶者短期居住権について

質 問

配偶者保護のための規定が新設されたと言うことですが、どういうものがありますか?

回 答

配偶者短期居住権、配偶者居住権、持ち戻し免除の意思表示の推定規定が新設されました。ここでは、配偶者短期居住権を説明します。

配偶者短期居住権とはどういうものですか?
相談者
相談者
美咲総合法律税務事務所
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例えば、配偶者が被相続人と被相続人所有の自宅に住んでいたとします。

被相続人が遺言で、自宅はすべて長男に相続させるという遺言を残していた場合、被相続人が亡くなって、遺言の効力が発生したときにはどのようになると思いますか?

自宅は長男のものになるため、長男から退去を求められれば退去しないと行けないように思います。
相談者
相談者
美咲総合法律税務事務所
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そうなりますね。しかし、この結論は配偶者にとって酷です。

そこで、一定期間、配偶者の居住権を認め、配偶者の保護を図る事になりました。

配偶者短期居住権が認められる条件はなんですか?
相談者
相談者
美咲総合法律税務事務所
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配偶者が被相続人の財産に属した建物に、相続開始(被相続人の死亡)のときに無償で住んでいたことが必要です。
ということは、普通に同居していればいいわけですね。

配偶者短期居住権はいつまで認められますか?

相談者
相談者
美咲総合法律税務事務所
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少し難しいですが、①居住建物について配偶者を含む共同相続人間で遺産の分割をすべき場合には、遺産分割により居住建物の帰属が確定した日又は相続開始のときから6ヶ月を経過する日のいずれか遅い日です。

また②それ以外の場合には,配偶者短期居住権の消滅の申し入れから6ヶ月を経過する日になります(民法1037条1項)。

難しいですね…

簡単な覚え方はないですか?

相談者
相談者
美咲総合法律税務事務所
美咲総合法律税務事務所
少なくとも相続開始から6ヶ月間は配偶者短期居住権が認められると考えて良いと思います。
美咲総合法律税務事務所
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正確に説明をすると、例えば遺言がないような場合には、自宅を誰が取得するかは、共同相続人の遺産分割協議により決まります(①の場合)。こういった場合には、遺産分割によって居住建物の帰属が確定した日又は相続開始のときから6ヶ月を経過するいずれか遅い日です。

これに対し、今回の事例のように遺言で長男が自宅を取得するとされている場合には、居住建物について遺産分割は不要ですから(②の場合)、長男から配偶者短期居住権の消滅の申し入れ(1037条3項)があってから6ヶ月経過した日になります。

この6ヶ月間は、賃料などは払う必要はありますか?

例えば、先ほどの事例で配偶者は、自宅を取得した長男に毎月の賃料を払わなければならないのでしょうか?

相談者
相談者
美咲総合法律税務事務所
美咲総合法律税務事務所
配偶者短期居住権は、居住建物について無償で使用する権利(1037条1項)ですので、賃料は不要です。

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