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保佐人の権限

質 問

保佐人が選任されると、どのような権限が与えられますか?

回 答

まず、「同意権」と「取消権」というものがあります。これは、被保佐人が民法13条1項所定の法律行為を行おうとする場合には、保佐人の同意が必要となるのですが、保佐人の同意がない場合、保佐人及び被保佐人は当該行為を取消すことができるのです(民法13条4項)。

民法13条にはどのような行為が定められていますか?
相談者
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美咲総合法律税務事務所
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まず「元本を領収し、又は利用すること」とあり、これは預貯金口座から払戻を受けたり、保佐人のお金を利息を付けて貸し付けるようなことが該当します。

また、「借財又は保証」も同意が必要です。お金を借りたり、誰かの債務について保証人となることです。

他には、「不動産その他重要な財産に関する権利の得喪を目的とする行為」と定められていますが、例えば、不動産の売買や不動産に抵当権を設定したり、保険を契約したり、介護施設へ入所する契約等もこれに該当します。

不動産に関連して言えば、例えば自宅を新築、増改築する場合や不動産を賃貸借する場合も同意が必要になります。

普段の買い物はどうすればいいですか?
相談者
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美咲総合法律税務事務所
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日用生活に関する行為について、保佐人の同意は不要です。
同意権や取消権以外に権限はありますか?
相談者
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美咲総合法律税務事務所
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「代理権」があります。
保佐人に代理権を与えた方がよいと思われる場合、裁判所への申立ての際にその旨裁判所に申立てを行う必要があります(民法876条の4)。

ただし、代理権を付与するためには、本人の同意が必要です(民法876条の4第2項)。

 

民法 第13条
1 被保佐人が次に掲げる行為をするには、その保佐人の同意を得なければならない。ただし、第九条ただし書に規定する行為については、この限りでない。
一 元本を領収し、又は利用すること。
二 借財又は保証をすること。
三 不動産その他重要な財産に関する権利の得喪を目的とする行為をすること。
四 訴訟行為をすること。
五 贈与、和解又は仲裁合意(仲裁法(平成十五年法律第百三十八号)第二条第一項に規定する仲裁合意をいう。)をすること。
六 相続の承認若しくは放棄又は遺産の分割をすること。
七 贈与の申込みを拒絶し、遺贈を放棄し、負担付贈与の申込みを承諾し、又は負担付遺贈を承認すること。
八 新築、改築、増築又は大修繕をすること。
九 第六百二条に定める期間を超える賃貸借をすること。2 家庭裁判所は、第十一条本文に規定する者又は保佐人若しくは保佐監督人の請求により、被保佐人が前項各号に掲げる行為以外の行為をする場合であってもその保佐人の同意を得なければならない旨の審判をすることができる。ただし、第九条ただし書に規定する行為については、この限りでない。
3 保佐人の同意を得なければならない行為について、保佐人が被保佐人の利益を害するおそれがないにもかかわらず同意をしないときは、家庭裁判所は、被保佐人の請求により、保佐人の同意に代わる許可を与えることができる。
4 保佐人の同意を得なければならない行為であって、その同意又はこれに代わる許可を得ないでしたものは、取り消すことができる。
民法 第9条
成年被後見人の法律行為は、取り消すことができる。ただし、日用品の購入その他日常生活に関する行為については、この限りでない。

 

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