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相続人でない者には寄与分は認められるか

質 問

先日父が亡くなりました。父は生前認知症が進み、また体の具合も悪く介護が必要な状態でした。私は長男で父と同居していましたが、会社員でしたので私が父の介護をすることは難しく、私に代わって、私の妻が父の介護をしてきました。この妻による介護を寄与分として考慮して、妻が遺産の一部を取得することはできるでしょうか?

 

回 答

寄与分を主張できるのは、相続人に限られるため、妻が直接に寄与分を主張することはできません。ただし、妻による寄与を長男による寄与と同視して、長男の相続分を増加させることは可能です。また、民法改正により、一定の親族には、特別寄与料が認められることになりました。いずれかの方法により、長男の妻の貢献は評価されることになります。

 

なぜ、妻に寄与分が認められないのでしょうか?
相談者
相談者
美咲総合法律税務事務所
美咲総合法律税務事務所
寄与分は、遺産分割をするにあたって、被相続人の生前に行った相続人の貢献を評価して、相続人間の公平を図る制度です。したがって、相続人ではなく、遺産分割に参加できない方については、寄与分は認められないのです
でも、妻は長男の代わりに介護をしていたとみることができますよね。それを長男による介護とみることはできないのでしょうか。
相談者
相談者
美咲総合法律税務事務所
美咲総合法律税務事務所
裁判実務上、相続人以外の者の寄与を、相続人の寄与に含めて評価することがなされています。今回の件でいえば、長男の妻の貢献を、長男の貢献とみて、長男の相続分を増加させることで、妻の貢献を評価することがされています。
長男と妻は経済的に一体ですから、長男の相続分を増加させることで、間接的に妻の貢献を評価しているわけですね。
相談者
相談者
美咲総合法律税務事務所
美咲総合法律税務事務所
そうです。
わかりました。
でも長男が先に死亡していた場合には、長男は遺産分割に参加できませんよね。
こういった場合には、長男の相続分を増やすという方法で妻の寄与を評価することができないと思うのですが、どうしたらいいでしょうか?
相談者
相談者
美咲総合法律税務事務所
美咲総合法律税務事務所
相続法が改正される以前は、長男が先に死亡していた場合には、妻の寄与を評価することは困難でした。しかし、相続法が改正され、相続人以外の者の寄与について、特別寄与料の請求が認められるようになりました。これによって長男の妻という相続人でない者が、被相続人の介護を行っていたような場合には、相続人に対して金銭請求をすることが可能になっています。詳しくは、よくあるQ&A特別寄与料についてをご参照ください。

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