HOME > よくあるQ&A > 相続財産について > 遺産分割完了後に債務が発見された場合

遺産分割完了後に債務が発見された場合

質 問

父が死亡後、相続人の間で遺産分割協議を行い、不動産の名義変更も終わりました。すると、「●●債権回収会社」というところから、亡き父が債務者となっているということで、数百万円の支払いを求める封書が届きました。父に借入があるなんて聞いたことがありません。私たちはどうすればよいのでしょうか。

回 答

相続人は、法定相続分に応じて、亡くなった方の債務を当然に引き継ぎます。例えば、800万円の負債を負ったお父さんが亡くなり、相続人が母、子(長男、長女)である場合、母は400万、長男200万、長女が200万円の負債をそれぞれ「当然に」引き継ぐことになります。そのため、遺産分割協議の有無にかかわらず、債権者は各相続人に請求ができます。

相続放棄についてはこちらをご覧ください。

今回は、遺産分割完了後に債務が発見された場合について説明します。

美咲総合法律税務事務所
美咲総合法律税務事務所
亡くなった方に多額の負債がある場合の対処法として「相続放棄」という方法があることをご紹介しました。
しかし、遺産分割が完了して、不動産の名義変更も終わったということであれば、法律上相続放棄を行うことはできません。すでに相続財産を承継しているためです。
私はどうすればいいのでしょうか?この債権回収会社が言っている金額を払わなければいけないのでしょうか?
相談者
相談者
美咲総合法律税務事務所
美咲総合法律税務事務所
今回「●●債権回収会社」というところから通知が来たということですが、借入日や債権譲受日はいつであると記載されていますか?
「借入日」は書いてありませんが、「債権譲受日」は「2005年」と書いてあります。
相談者
相談者
美咲総合法律税務事務所
美咲総合法律税務事務所
そうすると、すでに15年以上が経過していますね。お父さんがお金を借りていたことはありますか?
いえ、心当たりがありません。父は普通のサラリーマンでしたし、住宅ローンもすでに完済済みです。そのため、突然このような通知文がきて、家族全員驚いています。
相談者
相談者
美咲総合法律税務事務所
美咲総合法律税務事務所
もしかすると、お父さんが連帯保証人になっていたものかもしれません。
言われてみると、昔、親戚が借入するときに連帯保証人になっていたかもしれません・・・。この通知文を送ってきた「●●債権回収会社」に電話して確認した方がいいですか?
相談者
相談者
美咲総合法律税務事務所
美咲総合法律税務事務所
いえ、それはやめてください。債権譲受日からすでに15年以上が経って、これまで請求がきていなかったということであれば、消滅時効が完成している可能性があります。
消滅時効とはなんですか?
相談者
相談者
美咲総合法律税務事務所
美咲総合法律税務事務所
お金を貸した側は、長期間その請求を放置していると、貸金の返還を求めることができなくなるという制度です。債権が「消滅」するわけです。金融機関からの借入であれば通常5年で時効になります。とはいっても、自動的に消滅するわけではなく、「援用」といって、債務者側がきちんと消滅時効であることを通知する必要があるのです。
どうやって通知すればいいのですか。
相談者
相談者
美咲総合法律税務事務所
美咲総合法律税務事務所
通常は、書面で通知します。我々は内容証明郵便という方法を使って、確実に通知したことがわかるように記録に残しています。もちろん、弁護士に依頼せずともご自身で行うことはできる場合もありますが、確実に行うのであれば弁護士に依頼した方が賢明です。

相続手続き完了後に借入などがあることがわかった場合、消滅時効が完成している可能性がありますので、すぐに弁護士にご相談ください。

関連記事はこちら