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死因贈与-死因贈与契約を立証し、預金の払い戻しを受けた事例

お父さんが亡くなられ、遺産である預金を下ろしたいが、相続人の一人が行方不明であり、どうしたらいいかと言う相談がありました。

相続人は子供さん3人で、AさんとBさんの二人は地元に住んでおり、いつでも話はできるが、もう一人のCさんが行方不明とのことでした。

他で相談したら、行方不明のCさんを不在者として、家庭裁判所に申し立てて、不在者財産管理人を選任してもらい、管理人と他の相続人で遺産分割協議をする方法をアドバイスされたということでした。
そこで、詳しく聞いてみると、Aさんは生前、お父さんと同居しており、お父さんは自分が死んだら預金など遺産は全部、Aさんに取得してもらいたいと言っていたという事情があることがわかりました。本来なら、それを死因贈与契約書として文書にしておくか、法律で定められた様式で遺言書を作っておけばよかったのでしょうが、そのような手続きをしないうちに亡くなられたということでした。

遺言書は法律に基づいて定められた様式に従って作成する必要がありますので、口頭ではもちろん、何かそれらしいことが紙に書いてあっても、様式を満たしていなければ遺言書として効力は認められません。
他方、死因贈与契約は書面で作成するのが適当ですが、一つの合意ですので、口頭でも成立したと認められる可能性はあります。

この事例では、死因贈与契約があったとの主張に基づき、関連する証拠を集め、またその事情を文書にして陳述書として作成するなど口頭の合意を立証する方法を検討しました。

そして、Aさんが原告となり、行方不明のCさんも含め、他の相続人2人を被告として訴訟を提起しました。

訴訟の場合、被告が行方不明であっても、公示送達という方法で訴状などの書類を送達すると同様の効力を与える方法が法律で認められております。したがって、行方不明の人を被告として訴訟を提起することも可能です。

 

この場合も、そのような方法で、訴訟を提起し、上記で揃えた証拠を提出するなどして立証した結果、裁判所からお父さんの預金は死因贈与契約により全て原告が取得したとの判決をもらうことができました。
Bさんも被告としましたが、Bさんは事情を理解してくれ、訴訟に特に争うことはなく、対応してくれましたので、手続きはスムースに進みました。そして、その判決に基づいて銀行に手続きを行い、Aさんが預金を払い戻して取得することができました。

遺言作成の必要性>>>

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