遺産分割調停で被相続人が保有していた自社株式(非上場株式)を後継者が全て取得して、経営権を維持することができた事例
事案の概要
株式会社の代表(創業者)がお亡くなりになり、その後継者である方からのご依頼でした。
自社株の大半を被相続人が保有していたため、自社株が相続財産となってしまいました。後継者以外の相続人は会社経営に関与しておらず、後継者としては何とかして自社株を確保する必要がありました。
しかし、他の相続人は、後継者が自社株を取得するにあたり、多額の金銭の支払いを要求してきたことから、当事務所にご依頼をされました。
弁護士の活動内容
相続人の方と協議を行った上で、家庭裁判所での「調停」で協議をすることになりました。相続財産の評価額が高くなれば、当方の依頼者である後継者が自社株を取得したときに、他の相続人に支払う代償金の金額が多額になってしまうおそれがあるのです。
調停では、特に自社株の評価額が問題となりました。他の相続人は、相続税評価額あるいはそれよりも高い金額で評価すべきと主張しました。
これに対し、後継者側である当方としては、非上場会社ですから流通可能性がないこと等を主張し、大幅な減額を主張しました。
調停には裁判官も立ち会っており、当方の主張を汲んでもらい、自社株の評価額について相続税評価額から大幅な減額(ディスカウント)を行った内容での調停案が示されました。
相手方もこの内容に納得し、合意に至ることができました。
担当弁護士の所感
創業者や多数の自社株を有している代表等が生前に事業承継対策を行っていない場合、後継者である相続人がかなりの負担を強いられてしまいます。本件では自社株の評価について大幅なディスカウントをすることができ、依頼者の経済的負担を最小限とすることができました。無事経営権を後継者に集約することができて、大変よかったです。(担当弁護士 五十嵐勇)。
掲載日2023年10月12日
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